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執筆者の写真渡部 潤一

2021_0702

【リズムマシン?シンセサイザー?】


こんにちは、理事の渡部でございます。

今日は私が所有している機材についてお話をしていこうと思います。


私は普段、ハードウェア機材を使用して制作をしています。

その中で「リズムマシンでこれは絶対に外せない!」という機材があります。

elektron社製のMACHINEDRUMです。

2001年に発売されたこのリズムマシン、なぜ未だに使っているのか?

MACHINEDRUMならではの機能が実装されているんです。


現在、主流になっているリズムマシンの多くはアナログ波形とデジタル波形のハイブリッド方式ですが、MACHINEDRUMはフルデジタル(サンプリング)音源です。

デジタルということは、波形を複雑怪奇に変調できる(モジュレーション)方式を持ち合わせています。

MACHINEDRUMも同様に、アナログ方式よりも様々なパラメータによって自在な音を出すことができます。


では、MACHINEDRUMならではの機能とは?


それは16基のLFOです。

「なんでそんなに付いてるの?そんなに使うの?」そう思われるかもしれません。

従来の仕様は、1トラックに1LFOの構成です。

そこでポイントなのが、「他のトラックのLFOを他のトラックに移す」ことができるんです。

経験上、16トラックをフルに使うことはありません。よって、1つのトラックに一球入魂をし、LFOによって「変調に変調を重ねる」オペレーションが可能になります。


例えば、キックがあったとします。

それのDecay TimeをLFO1でモジュレートすることでキックの音を伸び縮みをさせる設定をさせ、LFO2でLFO1をランダム的に変調させると、単調(シーケンシャル)な変調から複雑な変調を可能にさせます。


スネアも一筋縄ではいかない独創的な波形が実装されており、そのパラメータをモジュレートすることで非常にエッジの効いた攻撃的、かつランダマイズされた波形が生成します。


その他にも過激なEQが実装されており、その周波数をLFOで変調することで、超重低音からパーカッシブかつモーフィングされたサウンドを生成することもできたりします。

極端な話、16基のLFOを1トラックに集約させて、もはや原型のない音を作り出すこともできます。


MACHINEDRUMは各ドラムキットに16トラックのサンプリング音源が内蔵されており、それをベースに音を作り上げていきます。

かつ、シーケンサーに「敢えて同調しないLFO」を加えることで、複雑怪奇なサウンド、二度と生成されないリズムパターンが作り出されます。


この「一期一会なサウンド」がMACHINEDRUMの真骨頂であると言えます。

一回前のシーケンスと二回目のシーケンスでは、同じ音色パターンは生成されません。

そこが醍醐味であり、従来のリズムマシンとは決定的に異なるマシンです。

もちろん、変拍子やポリリズムを使い、ソングモードで組み上げることで1曲分のパターンを組むこともできます。


このように、シンセサイザーに近い合成方式を扱うことによって、シネマティックなサウンドをも得意なマシンであり、単調なリズム音源に飽きた方には一度触る機会があったら是非試してみてほしい逸品です。


※私はリズムパターンを扱うのも勿論の事、DAWに取り込んで、リバーブ&ディレイをかけてサウンドスケープ要素の一つとしても使っています。


そしてMACHINEDRUMのもう一つの特徴、それはMIDIクロックの精度がバツグンに良いと言う部分です。

私はMACHINEDRUMのシーケンサーをマスターとして、Logic Pro Xをスレーブにしています。

これによって「BPMコンマ0.00秒単位」のズレを補正し、各ハードシンセにクロックを送っています。


「複雑な変調」「一期一会のサウンド」「正確無比なMIDIクロック」

これがMACHINEDRUMを使い続けている理由です。


従来のソフト音源でリズムパターンの骨組みを作っておいて、このような特殊なリズムマシンで味付けをするのも有効かと思います。


それでは、今日はこの辺で以上とさせていただきます。


渡部 潤一

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